葵のひとり感想戦

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【機動戦士ガンダムOO】言葉がないと分かり合えないのか、言葉がなくても伝わるのか

機動戦士ガンダムOOを鑑賞しました。

劇場版はまだ観ていません。

ちなみにこれが私の初ガンダム

(シリーズ多すぎて何から入ればいいのかわからず、また全部観る時間もなく、でこれまで観てきませんでした)

 

いろいろ思うことがあるのですが、今日はピックアップしてこれ。

最終話?その前?にあった、アンドレイ大尉とマリーのやりとり。

 

「どうしてお父さんのことをわかってあげようとしなかったの?」

「何も言ってくれなかったからだ、言葉にしないと何もわからない」

 

こんなやりとりがあったと思います(ニュアンスです)

このやりとり、すごく印象深くて。

 

マリーの言うことは正論だと思う。自分のことをわかってほしいなら相手のこともわかってあげようとしないとって考えは正しいと思うし、あるべき姿勢だと思う。

でも一方でアンドレイの言う「言葉にしないとわからない」も正しいと思うんですよね。

これは日常のあらゆる場面でも思うことがあって、特に家族や恋人、親しい友人など距離が近い間柄であればあるほど「言わなくてもわかってもらえる」なんて思ったらいけないと思っていて。

大切な相手だからこそ、誤解のないように言葉で伝えなくちゃいけないと思うし、言葉による誤解を解けるのも言葉だと思うから。

しかもアンドレイの場合は相手が父親で、当時の自分は幼い。

余計に「言葉にしないとわからない」と思います。

だからアンドレイの言い分もわかる、めっちゃわかる。

 

なんて思っていた矢先に、次の場面では沙慈とルイスのシーン。

ルイスが何とか喋ろうとするところで、沙慈はこんな感じのことを言います(ニュアンスです)

 

「何も言わなくていい、わかってる」

 

いやいやいやいや、アンドレイのとこで納得した気持ちよ!

言葉にしなきゃわかんないよなあ、当然だよなあと納得した矢先に、想い合う2人のこのやりとりですよ。

愛はどんなことも可能にするってか?

 

このセリフ、恋人同士だと度々見る気がしますね。

言わなくても君のことは全部わかっているよ、て感じで。

とてもロマンチックなセリフだし、そんなこと言われてメロメロ(死語)になる人も多いのかなあとは思います、が。

 

私としては、やっぱり「言わなきゃわからない」派。

沙慈とルイスの場面ではまあルイスが言いたいことは沙慈には伝わったんだろうなと思えますし、現実的に見ても確かに言わなくてもわかることはなくはない。

でも、それってあくまで受け手側の単なる想像と思い込みですよね。

 

そう考える私からしたら、アンドレイのセリフの後に沙慈にこれを言わせるってなかなか皮肉だと思うしめちゃくちゃ印象深かったです。

 

そこでもう少し考えを巡らして…

アンドレイは親子、沙慈は恋人の間柄という違いがありますよね。

親子と恋人、明らかに距離感も依存度も違います。

 

まず親子間、これは一般的に見て20~30歳上の親とその子ども。

親は子どもを育て、子どもは親に育てられる。

その立場として考えると、子どもはどうしても親に甘えてしまうし親は子どもに対して完全に素直にはいられないこともあるのかと。

勿論例外も認めてますよ。

 

アンドレイは幼少期に母を亡くしたとき、父親から謝罪やら説明やらが欲しかったのに何も話してもらえず信用できなくなったという経緯。

これは「言ってくれるだろう」という勝手な甘えが裏切られたことでマイナスな感情を抱くようになったと捉えられるのではないかな。

更に言えば、もともとのセリフ「言葉にしないとわからない」はぶっちゃけ「言葉以外の部分からわかろうとする努力を放棄している」とも言えて、努力の放棄は一種の甘えとも考えられますね。

 

一方での恋人同士。一般では歳の近い者だったり同じ時間を過ごした仲だったり、血の繋がりがないのに「特別」と思わせる関係性。

一概には言えませんが、とてもピュアで良い表現をすると、恋人同士には思いやりや守りたいという気持ち、素直な自分を見せたいという純粋な想いが生まれるのではないかと私は考えます。

 

沙慈は最愛のルイスを想い続け、ルイスが敵の立場で現れても呼びかけをやめず、ルイスを取り戻すために戦い尽した少年。

ルイスは沙慈に感謝したかったり謝罪したかったり、沢山言いたいことがあったんだと思います。

でも沙慈は感謝も謝罪もいらない、ルイスが腕の中にいる事実だけで満足なわけで。

また自分がやりたくてやってきた行動(=ルイスを救う)の結果に対して、ルイスからの感謝も謝罪もいらないわけで。

自分が何もせずともルイスが戻ってきてくれることを期待していたわけではないと思うんです。

実際ルイスが何を言おうとしたのかはわかりませんが、沙慈には不要だったんじゃないかと思ったりします。

だから、何も言わなくていいよ、と言えたんじゃないかなと。

更にルイスがどんな子かよく知っている沙慈は、ルイスが言おうとしたことも何となく(全部ではなく、何となくなところがポイントです笑)わかったうえで、わかっているよと言ったのではないかなと。

 

わかりにくい書き方をしてきましたが、つまりは相手への期待と裏切りがあったか否か。

アンドレイは父セルゲイに期待し、裏切られたと感じたから「言葉にしないとわからない」

沙慈はルイスに期待したのではなく自分で行動したから「言わなくてもわかる」

という言葉が出てきたんじゃないかな、なんて。

 

そしてどうしても期待してしまう立場である子から親への関係性と、期待(もっと言えば他人任せの思考、ですかね)するのではなく自分で行動できる立場である恋人間の関係性の違いがアンドレイと沙慈の対照的なセリフの違いを生んだのではないかな。

 

実際のところわかんないですけど、あのやりとりを並べたのは対照的なセリフを印象付けるためだと思ってしまいますね。

 

ここまで考えて一応自分の中で結論はつけられましたが、結論付けたうえで私は「どんな関係性においても言葉にしないと相手には伝わらない」という考えは変わりません。

だからこそ言葉を選ぶときは慎重にならないといけないし、沢山考えて言葉を発しないといけないし、議論が必要になるんだと思います。

だって、正直相手が親でなくても、恋人であっても、友人とか同僚とか近所の人であっても、人間は他人に期待することをやめられないから。

社会のルールを守るのだって、他人に守るよう期待しているわけじゃないですか。

無意識に自分も他人からの期待に応えようとしているとも考えられますよね。

 

そして期待することは悪いことではないと思います。

よく恋人との円満の秘訣として、相手に期待しないこと、と挙げる人もいますが。

自分との違いは、言葉でわかりあえる。

私はそう思います。

 

 

それにしてもガンダム、いきなりOOから見てしまうとどうしても他のシリーズも観ないといけない気持ちになる。

まあ多いし、長いし…時間は有限なので、気が向いたときに他のシリーズもぼちぼち観ていくとするかなあ。

ちなみにOOの最推しはロックオン弟でした(弟登場前の最推しは勿論ロックオン兄です)

普通に…かっこいいよねえ…